2017年12月08日

怪盗グルーのミニオン大脱走感想 ドルーについて ※ネタバレ


「怪盗グルーのミニオン大脱走」の感想をつれづれと。今回はドルーについて。辛口ですので少しでも嫌と思った人は読まないでください。



ドルーははっきり言ってあまり好きになれませんでした。恵まれた人特有のイラっとくる鈍感さを持っているキャラが元々苦手なこともありますが、何もかも恵まれてるくせして、何生意気言ってるんだって感じで…。露骨なドループッシュなスタッフロールアニメも見ててドン引きしました。



グルーは卑屈で他人が嫌がることが大好きな悪役です。でもそうなった根底には、子供時代の悲しい思い出や母に認められたい思いがあったからで、そういった経緯があるからこそ共感できました。
でもドルーはあれだけ恵まれたセレブ生活を送ってきてこれ以上高望みするなよ!って言いたくなる性格で、何の苦労も知らない甘ったれた言動に反感しか持てませんでした。車コレクションを見せびらかしたり、セレブ生活披露も本人は本当にこんなのたいしたことないと思ってるのでしょうが、見る人によってはなんだコイツと思ってしまいます(苦)
さらにグルーそっくりだから、なおさらイライラ度が増してしまうのですよね…。ドルーがグルーの甥か親戚設定で、ベクターやハーブみたいな年下か、子供ならまだよかったのですけど。こういったとき、若さや美形は何をやってもいろんな意味で許されるものです(違)




グルーと入れ替わりしてふざけるシーンも、いい歳したジジイが…と見苦しくてドン引きしてしまいました。脚本家はノリノリで書いたと思われますが(苦笑)

ドルーが「ちびった(おしっこを漏らした)」と言った場面も、はっきり言ってキモイだけでした。
下ネタもあるのが「怪盗グルー」シリーズで、たいていは「お尻」ネタばかりで、それが面白おかしく描かれててそれがよかったのですが、あまりにも汚い系のギャグは賛否両論あると思います。



ドルーについてはいいと思えた点は、アグネスたちが誘拐されたときにごねたりせずに潔く救出に協力したところ、バルタザールとの戦いでバルタザールのロボの動力部を必死に壊してグルーを助けたところです。三姉妹誘拐時の協力と和解は、さすがにいい大人なのでこれは常識だと思うのですが、そういった点ですらプラスポイントとして加算しないといけないほど、いいところが少ないです。



でもドルーの株をあげた数少ない名場面を台無しにしたのが、ミニオンたちを連れて出ていくラストシーンとスタッフロールのアニメです。

ラストシーンは、奪ったグルーの飛行船のロゴを図々しくドルーマークに変えているところとか、ミニオンたちに自分とおそろいの悪党スーツを着せて「ミニオンも俺のものだぜ」とアピールしてるところとか、見てて本当にムカツキました。
大富豪としての身分、莫大な財産、何不自由ない生活、悪党として不向きすぎるドジな性格をカバーして余りある恵まれた境遇のくせして、さらにミニオンたちまでグルーから奪うのかい!…と憤りを感じてしまいました。悪党やるなら自分一人の力でやれ、優秀な執事(フリッツ)がいるなら執事を相棒にしろよと。

そもそもミニオンたちと面識なかった、会って間もないドルーにミニオンたちがついて出ていく…という展開が無理ありすぎです。あれだけ苦労して脱獄してグルーのところに戻ってきたのに、グルーを捨ててドルーと出ていくなんて、いきなりすぎてもう無茶苦茶です。

ミニオンが長年仕えて愛してきたグルーを捨ててまで、ドルーに入れ込む理由も意味不明で…。【ミニオンは最強最悪のボスに仕える】設定でも、最強最悪のボスはグルーであって、ドルーは最強最悪のボスじゃないですし。

せめて
・メルたちが家出しないでグルーのお供としてフリードニアに赴く
・そこでメルがドルーと出会い、一番の悪党になりたいという彼の夢を聞いて、意気投合して協力することになる
・他のミニオンたちにも言って、ドルーを最強の悪党にすべく面倒をみようとする
…こんな感じで、ドルーとミニオンたちが打ち解けていく過程が描かれたら、見てる側も納得できました。
そういった過程をすっ飛ばして、会って間もないドルーとミニオンがグルーを捨てて出ていく展開は本当に無茶苦茶で、脚本家はどんだけドルーすっごいんだZEEEアピールをしたいのか…。






スタッフロールのアニメはひたすらドルーの優秀さとグルーのヘタレぶりを描いていてグルーファンとしては見ていて苦痛でムカつくことこのうえなかったです。
あれだけドジだったドルーが、いきなり大怪盗グルーをあれだけやりこめる怪盗になってるのがおかしいです。そもそもルーシーの手前、悪党はおろか怪盗すらできないグルーがドルーと怪盗やってるわけないじゃんとツッコミどころ満載で…。
このアニメムービーは矛盾していて、ただ単に「俺の推し(ドルー)を目立たせよう」というスタッフの下心が感じられて、見るたびにムカツいてました。

Aを目立たせるのに、Bを比較に出して貶める…という演出はよく見られますが、この場合、Bのファンはとても不快に思うし、Aに対しても悪い印象をもってしまうでしょう。
「これからの怪盗グルーシリーズはドルーが主役だぜ、よろしく!!」とドルーを推したいなら、ドルー単体で彼の優秀さを描けばいいだけなのに…。グルーを比較に出して貶めることで、大怪盗グルーを出し抜くドルーの優秀さをアピール…はっきり言って脚本家の技量のなさをここからも感じられました。



ドルーのフルネームは【フェロニアス・グルー】で、【グルー】は名字という設定が、「怪盗グルーのミニオン大脱走」で付け加えられたわけですが、これは【怪盗グルー】を名乗るなら、グルーでなくても別キャラでもかまわないようにしたスタッフの意図もあったのでしょう。
ドルーのフルネームは【ドルー・グルー】だったら、ドルーが怪盗グルーと名乗ってもいいじゃん!…というドルー大好きな脚本家の考えなんでしょうねえ。


ただグルーからドルーに主役交代させるにしても、グルーをあそこまでヘタレな境遇にすることはなかったと思います。ファンはグルーという名字でグルーそっくりの外見なら誰でもいいってわけではありません。
「怪盗グルーの月泥棒」から「ミニオンズ」まで、シリーズを通じてグルーの活躍を見守り応援してきた時間と積み重ねがあるからこそ、グルーはファンにとって、とても大事な存在になりました。
「ミニオンズ」のスタッフのコメントでも「ミニオンの家はグルー」と語られていたことからも、グルーとミニオンの関係は特別なのは明らかでした。

「怪盗グルーのミニオン大脱走」はそれまで積み重ねてきたグルーとミニオンの関係を壊して台無しにしました。見返すたびに凹んで苦痛に感じた映画は初めてです。



露骨なドループッシュがなければ、ドルーもバルタザールみたいに苦労を重ねてきたという過去が描かれたら、ドルーとミニオンが打ち解けていく過程が描かれていたら、少しはドルーに共感できたかもしれません。

ドルーの扱いは、好きなキャラを優遇して推し過ぎるのはかえって反感を買ってしまうという興味深い例でした。

はっきり言って、ドルーが主人公になった「怪盗グルー」新作なんて見たくないです。今回の脚本を思うに、ミニオンは名前だけでたいした活躍なし、ひたすら怪盗ドルー大活躍ドルーごり押しな、脚本家だけ楽しい薄っぺらいストーリーになりそうなので。評論は見てなんぼなので見るとは思いますが、応援はできないと思います。




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posted by あおやぎういろう at 07:15| 怪盗グルーのミニオン大脱走感想